あたしが驚いて固まっていると、小説に落としていた瑠璃色の瞳がこちらに向いた。
伏し目がちの瞳がすごく綺麗で……。
まるで、流れる時間が止まったんじゃないかって、そう思った。
「終わったのか?」
口の端を小さく持ち上げたハル。
ドキ!
い、いつから……いたんだろう。
全然気づかなかった……。
「どうして、ハルがここに?」
茫然としたままそう言うと、ハルは手に持っていた小説をパタンと閉じた。
「お前の必死な姿を……笑いに」
「……」
わ、笑いに?
ポカンとしたあたしを見て、ハルはクッと喉の奥で笑うとゆっくりと腰を上げた。
「行くぞ」
「へ? い、行くって……」
「終わったんだろ? 勉強は」
「はい……でも……」
言い終わらないうちに、ハルに手を握られた。
そのままクイッと引き寄せられる。
不意に近づいた距離に戸惑っていると、極上の笑顔が降ってきた。
「志穂、お前にも返せるものを見つけた」
……は?
ますます訳が分からなくなったのは、言うまでもない。



