溺愛プリンス


ようやく梅雨が明けた。
季節は夏本番。


照りつける太陽の日差しはキラキラと輝いて、空はどこまでも青く広がっている。


少しでも動けば、汗がふきでてくるし。
それにくわえて、体中にまとわりつくような、アブラセミの鳴き声が暑さを倍増させた。


午前の講義を終えて校舎を出ると、図書館に向かう。
今日はこの後の予定もないし、図書館でテスト勉強するつもりだった。




図書館は、外の暑さがうそのようにヒンヤリとしていた。
もちろん冷房のおかげってのもあるけど、読書スペース以外は薄暗いせいもある。

いつもの席に座り、胸まで伸びた髪をひとつにまとめて、ノートを広げた。






「…………」


紙をめくる音と、ペンを滑らせる音だけが聞こえるこの空間は心地良い。

ノートから顔を上げたあたしは、自分の目を疑った。


え……?

気が付くと、静かな図書室は茜色に染まろうとしていた。
でも、そんな事に驚いたんじゃない。



ハルだ。

向かいの席に、いつの間にかハルがいたんだ。