先輩には迷惑はかけない。 それだけは決めてる。 トイレから出たあたしは、ママのもとに戻った。 「もうすぐ時間だからね」 「うん…」 「大丈夫、だいじょうぶ。天歌は恭の娘なんだから、なんとかなるわよ」 「うん、」 パパの娘だからってのはわかんないけど、頑張る。 あたしの気持ちを伝える、そんな些細な事かもしれないけど、先輩に悲しい顔はさせない。 ママに部屋の前まで案内してもらった。 この扉の向こうに先輩のお父さんがいる。 さあ行くんだ、あたし。 ―――トントン 「―――失礼します」