アンカーの先輩は、一人、さらに一人と抜いていく。



「せんぱぁーいっ!!がんばれーっ!!」



先輩は部活してないのに関わらず、足が速い。



4位でバトンをもらったのに、もうトップに追いつく。



「おいこせぇーっ!!」




ゴールテープの手前、先輩が前に出た。



そのままゴール……。




「い、一番っ…」

「音弥さん、足速いんだね」



割れんばかりの沸き上がる歓声。



先輩が一番だっ…!!



「――先輩っ!!」



あたしは大きく手を振って、先輩にアピールをする。