そりゃわからないよ。 自分の事は結局自分しかわからないんだし、他人の気持ちなんか知らない。 「……天ちゃんは昔からずっと、周りに愛されて育ったじゃん」 「………」 「周りの人に恵まれて、仲のいい幼馴染みもいて」 「………」 「いつも一人だった、あたしの気持ちなんかわからない!!」 「姫ちゃっ…――」 姫ちゃんは、近くにあった花瓶を床に投げつけた。 ガラスの破片と水が飛び散り、花が床に落ちる。 「お前達、何やってる」 パパ……。 「天歌……。姫歌……」 ママ……。