あたしの夢って事は、あれだよね。 “素敵な家庭を築きたい” 「母さんが死んでからも、親父が変わるわけじゃない」 「………」 「仕事は忙しいし、女は連れ込むし、」 「………」 「家の事は、家政婦に任せっきりで」 「………」 「だからってわけじゃねぇけど、親の愛情に乏しいっていうか……」 「………」 「何ていうんだろうな、」 苦笑いをする先輩に、どうして笑ってられるのかがわからなかった。 小さい時からいつも一人ぼっちで、辛かったはずなのに。 本当は笑っていられるような事じゃないのに……。