ふいに呼ばれた名前に 勢いよく顔を上げる 正面の夏は、苦虫を噛んだような 辛そうな顔をしていた 「俺、よく考えたら 気づけなかった俺に腹が立ってるんだ」 「…」 「思い返せば気づくべきヵ所 なんて、何ヵ所もあった お前が苦しんでるのを 感じてやれなかった」 「俺には、まだやってないことがある それを果たしたくて、 あの日お前の家で待ってたんだ」