「先輩!」
「おう、由莉。どうした?」
「あの…が、頑張って…ください」
照れ臭そうに私が言うと、先輩は笑ってこたえた。
「当たり前だろ、絶対1位んなってこの前言ったことしてやっからな」
「…え?」
「ほら、そろそろゴールで待ってろよ」
先輩が私の髪をぐしゃっと撫でる。
「京介先輩頑張ってくださいね〜!私も応援してます!」
「ありがとう、真奈ちゃんも速かったね」
「見ててくれたんですか?ありがとうございます!」
『次は3年男子100メートル決勝です。選手はスタート地点についてください』
放送によって会話が中断される。
「じゃあ、頑張ってくださ〜い」

