そして、琢己は畑の隅にある肥溜めに、頭から落ちていた。その匂いは、筆舌に尽くしがたい猛烈なものであった。琢己は、もう戦意を消失しているどころか、あまりの出来事に泣きじゃくっていた。

 仲間もそれを見て成すすべもなく立ち尽くしていた。そこへ、畑のおばちゃんが怒りながら走ってやってきた。

「おめがだ、なにしでるがー」

 僕らは慌てて走り出した。そして走りながら真夏が叫んでいた。

「わしは、いつでも助けるけん。遠慮せんで」

 興奮したせいか、久しぶりに真夏の『わし』を聞いた。僕は、なんと言っていいか言葉に詰まりながらも、お礼を言った。

「ありがと、助かったよ」