恋と狼と陸上と…

圭吾さんは私の背中にまわした腕をほどいた。


そのまま私の頬を両手で包むようにして、顔を上げさせ、親指で涙を拭いてくれた。


「俺にはお前が一番だったよ」

圭吾さんはそう言って、私に顔を近付けてきた。


私は自然にゆっくりと目を閉じた。


おでこに柔らかい、温かいものが触れた。


次に頬にも柔らかい温かいものが触れた。


そして、唇にも柔らかい温かいものが触れた。


圭吾さんは頬から手を離し、右手を私の後頭部に、左手を背中にまわして、強く抱きしめてくれた。


「ありがとう圭吾さん。ありがとう」


私は何度もお礼を言った。


私は最高のご褒美をもらえた。


圭吾さんに最高のご褒美をもらった。


≪頑張ってよかった≫

やっとそう思えた。