圭吾さんは私を近くのベンチに座らせ、自分も横に座り


「こんな暗くまで走って、一人で帰れんのか?」


と右隣の私を見て言った。


「暗くなったのに気付かなくて…」



暗くなったのにも気付かなかった上に、また腰を抜かして恥ずかしくてたまらない。


「・・・すげえな」


圭吾さんは前を向いて、膝に肘を置いて、前に体をのりだした格好をして言った。


「すごい?わたしが?」


暗くなったのにも気づかない間抜けで腰抜けな私がどうしてすごいのだろう?


「ああ、集中してたから気付かなかったんだろ?お前、すげえよ」


圭吾さんに褒めてもらえてうれしいけど、ちょっと複雑。