恋と狼と陸上と…

「お金、返します」 と言って財布を出したら「いい。おごってやる」と、言ってくれた。



「え?いいんですか?じゃあ、もうカツアゲされたとか言わないでくださいよ!」


私はふくれっ面で言った。


「ああ」 

その人は右の口角をあげて短く言った。また笑ったようだった。


「すっげーな。俺、圭吾がそんな顔すんの初めて見たわ」

聡太さんが感心したように言った。


その人の顔がまた無表情に変わった。


「あれ?絵里も美世もなんで固まってんの?」

聡太さんが不思議そうに言った。


「え?あっ、ちょっと軽いカルチャーショックよ」

絵里さんはそう言って、私とその人を交互に見ている。