「あら?綾ちゃん?」

中庭のベンチで優雅に座って私に声をかけてくれたのは、きれいなお姉さんこと、絵里さんだった。


「絵里さん!!こんにちは」


私は綺麗なお姉さんに弱い。この前はレズの道まで意識してしまった程だ。


一人っ子だから憧れが強いのだろう。


「あっ、絵里さん」



ちょっと離れて歩いていたせいで、遅れて美世が気付いた。


「あら、美世ちゃんも一緒?あれ?喧嘩でもしたの?」


絵里さんは微妙な美世との距離を見てくすくすと笑いながら言った。


「だって、絵里さん聞いてくださいよ!!「やめてよ」

私は美世の言葉を遮った。


絵里さんにまで幽霊だとか妄想と言われたらショックで立ち直れない。


今のままじゃ手がかりもない以上、私は不利だ。