恋と狼と陸上と…

入口に戻って靴を履くとき、私達は手を放した。


手を離したとき、さみしくなった。急に心細くなった。


靴をはき、校門に向かって歩きだしたその人の後を追う。


前を歩くその人が突然立ち止まって体を半分だけ私に向けて、左手を差し出した。


顔はちょっと下を向いたまま、手だけが差し出されていた。


私は嬉しくなって、駆け寄って、右手でその左手を握った。


「ありがとう」


「おう」


たったそれだけの言葉に胸が熱くなった。


つないだ手からその人の優しさが伝わってくるようだった。