恋と狼と陸上と…

「手がかかんな」

そう言ってその人は後ろ向きになって、私をおぶった。あまりの早業に人さらいかと思うほどだった。


「何組だ?」


「え?あっ、1-Cです。あのぉ…すみません」

私はその人の大きな背中に顔をうずめて謝った。


その人の背中はやせているようだったのに大きくて、子供のころパパにおんぶしてもらった時のことを思い出した。


あったかくて、すべてに安心できるパパの背中は私の大好きな場所の一つだった。私は子供のころ、パパが大好きだった。


その人は何も言わず、階段まで上って1-Cの教室まで行ってくれた。


「重くないですか?」

って聞いたら、


「仕方ない」

ってそっけなく言われた。その人は無口な人のなようだ。


いや、ひょっとして怒ってる?


そりゃ、初めて会って人にお茶をおごらされて、学校につきあわされて、挙げ句におんぶをさせられたら、普通怒るかも。。。