だから「いいよ」って言おうとした瞬間、クロちゃんのアイコンタクトが私に飛んできた。『遠慮してよ』・・・私の勘違いでなかったらいいのに、その目は力強くそう言っていた。


はぁ…クロちゃんは田野っちのことがすきなのか…
恋が始まる前に終わったよ…


「ああの、ごごめんね。私、今日、用事があって、一緒に帰れないんだ。二人で行ってきてよ」


私は言い終わると『これでいいのか?』とクロちゃんにアイコンタクトを送った。『Good job!!』クロちゃんのにやけた笑顔がそう物語っていた。


「えー、うそぉ。残念…でも私は平気だよ。何食べてく?」

クロちゃんがしらじらしくそう言うと、田野っちに駆け寄って行った。


・・・女って怖い・・・


田野っちに駆け寄って行ったので、もうクロちゃんの後ろ姿しか見えない。クロちゃんはさっきのにやけた顔のまま行ったのだろうか?と思うとちょっとおかしくなった。