幼い頃。

夜空に瞬く星と、神秘的な月に向かって手を伸ばした。

目に見えるのに、精一杯に爪先立ちしても届かなかった。

ひどくじれったくて、星と月はただそこにいたのに、裏切られた感覚だった。

段々自分が、大きくなるにつれて。

手を伸ばす対象は、君になった。

星と人間、違う存在なのに手を伸ばす感覚は残酷なほど似ていて。

いつも見てるのに、そう呟いて癖のようにまた、手を伸ばす。

そしてその手は。

今日もどこにも届かずに、空を切った。