「もしもし……

あ、はい、行けると思います、丁度ジュンくんが来てるので」


僕がチラリと純一郎くんを振り返ると、彼は恐らく電話から漏れた限さんの話をこぼれ聞いて、もう立ち上がろうとしていました。


「ジュンくん、お願いできるかな」

「お安い御用で」


こういう時、やはり男の子は頼りになりますね。

僕は予備のヘルメットを受け取ると、彼の後ろにしっかりと掴まるかたちでバイクに跨りました。


「シンさん、いいですか」

「ラジャー」


そんな間抜けなやり取りの後、僕を乗せた純一郎くんのバイクは、土ぼこりを上げて街道を山の方向へと走り始めます。