私が掴んでいる竹刀に手を乗せてきた。


「構えがなってない」


すぐ間近で聞こえる声。


耳に掛かる吐息。


「ちょっと!! もぅいいから!!」


手で押しのけても、この男はなかなか離れない。

前を見ると、後輩の男子女子がじぃーとこちらを見ている。


「違う!! 違うからね!!」


私の弁解なんて、耳に入るはずもなく…。


昼休憩まで、私は途方に暮れていた。