蓮の胸で泣いて一週間がたった。


その間蓮に会うこともなかった。


もともと蓮に会うのはたいてい誰もいなくなった放課後だし、幼なじみと知られていても人の目の前で会っていたわけではないから、女子達の牽制はあれからなかった。


平和な学園生活が戻ったと思ったある日、あたしにとって忘れられない事件が起きる。


いつものように空気のように過ごしていたあたしは、昼休みを迎えていた。


すると、女子達の会話の中に、聞き逃せない人物の名があたしの耳に入ってきた。



「うっそー!日向先輩が来てるのー!?」


「そう!しかも、今1年の階にいるらしいよ!」


「まじ!?見に行こ!」



日向先輩って・・・涼兄学校来てるんだ。


1年の階なんかに来て何してんだろ・・・あ、蓮に会いに来たのかな?


涼兄とは学校では断絶状態で2人が兄妹だと言うことは、蓮と凛しか知らない。


それに、1年は3階で、2年は2階のため、余計に会う機会なんてなかった。


自分は関係ないとのんきに思っていたら、いきなり廊下が騒がしくなった。