日向家の男どもがとんでもないことを考えていることも知らず、あたしは学校で昼休みを迎えていた。


ふと、廊下がなにやら騒がしいのに気づく。


キャーキャーとか純くーんと、かとにかく甲高い女子の声がすさまじい。


ん?純君?どっかで聞いたことのある名前だと思っていると、当の本人があたしを訪ね
てきた。



「雪帆ちゃんだよね?ちょっといい?」


「はえ・・・?」



何が何だか分からない間に連れ去られようとするのを、助けてくれる勇者様がいた。



「ちょっと!雪帆に何するの!」


「凛~」



意味が分からないわ、女子達に睨まれるわで半泣きのあたしに、凛が純に詰め寄る。



「・・・ふ~ん、君があの白雪姫。なるほどねぇ」


「な、何よ・・・!」



抗議するつもりが、逆に顔を近づけられ、ひるんでしまう。



「雪帆ちゃんと話すのにいちいち君の許可はとらなくていいよね?あ、蓮に言っても無駄だよ?許可はとってあるから」



後半を凛の耳元で囁き、颯爽とあたしを連れて行く純。


振り返れば、絶句した凛があたし達を見送っていた。