一方その頃の日向家では・・・



「くすくす・・・蓮はうまくやってんだ・・・」



楽しそうに笑う涼を後目に、なにやら考えている祖父。



「ふむ、蓮君が帰ってきたと言うことはそろそろ潮時か?」


「・・・止めさすんですか?あの変装・・・」



そうつぶやく祖父にいち早く反応したのは、今まで話に入ってこなかった涼一だ。



「うむ、蓮君が帰ってきたと言うことはあの話も進むだろうて。まぁあくまで本人同士の意志が最優先だがな」


「蓮は心配ないと思う。もともとあいつの望みは雪帆だから。雪帆も、あの反応だと大丈夫だろ」



うれしそうな息子が不思議でならない。あれほど妹を大事にしていたのに。



「なぜ大事な妹が他の男の元へ行くというのにうれしそうなんだ、お前は」



そうため息をこぼす父に涼はからりと笑ってみせる。



「大事な妹だから、あいつに任せるんだ。あいつなら雪帆を受け入れてくれるし守ってくれる。親父もそう思うからあの話を受けたんだろ?」


「・・・まぁ・・な」



妙に生意気な息子に図星を指されつつ、涼一はため息をつく。



「さぁて、どうやってばらそうかなー」


「なんじゃ、お前がやるのか」


「やるなら派手にやりたいし、これで学校で心おきなく雪帆にあえる!」



後者が本音なのだろう涼に、2人は苦笑するしかなかった。