そう言いながら、あたしの頬をゆっくりと撫でる。


瞬間、あたしの背筋が凍った。



「くっ!・・・何すんのよ!・・・バカ・・」



そのまま我慢できずにヒザから崩れる。


地面にヒザが着く寸前に、蓮があたしを抱きとめた。



「お前が悪いんだろ?素直になんないから」


「あたしはいつでもどこでも素直よ!」


「強がっちゃって・・・まぁ、いいや。ねぇ、俺になんか言うことあるんじゃない?」



碧眼の悪魔がさらに意地悪く、口元を歪める。


こいつ、性格の悪さに磨きがかかってやがる!


悔しくてぎりっと奥歯をかみしめるが、そんなあたしの様子も楽しそうに眺めている。




「・・・・・・・・おかえり、蓮」




小さく口の中でつぶやいたのに、蓮は聞き逃さなかったようだ。



「ただいま・・雪」



とろけるような笑顔で、あたしを包み込んだ。