「日暮。部屋少しは片付いたのー?」
「少し休ませてー!長旅で疲れたのよー!」

はじめまして。二階堂 日暮16歳です。今日は引っ越しをしました!

「日暮!早く片付けなさい!お母さんは頑張ってるのよ!?さっさと…」
「もー!わかってるよー!!」

海が見える綺麗な場所。自室が二階の私の部屋からは綺麗な夕焼け色に染まった海が見える。とてもいい街。

「・・・あれ?男の人・・・?がいる。」

学生さんだろうか。学ランを着て男の人が立っている。夕陽で髪の色とかが全然わからない。お母さんに隠れて抜け出そうか。それとも素直に言ってから行くか。迷いどころだ。迷っている私にお母さんはいった。

「日暮ー。ちょっと夕飯の買い出し言ってきてー!」

ラッキー☆

「行く行く!絶対に行く!」

私は小走りでお母さんの元へ行き、お金を受け取った。私はまた部屋に戻り、だらしないジャージからお気に入りの洋服に着換えた。初めての街へのドキドキと男の人が気になったものだから、玄関に行きスニーカーを履いて陸上で鍛えた足で走った。

「わー!気持ちいい風!」

私は少し走ったところでスピードをゆるめ、ピタッと止まった。

「・・・そう言えばさっきの男の人。なにしてたんだろ。」

気になって階段を下りて砂浜へ向かった。男の人を見ると俯いていて顔が全然見えなかったけど、容姿は確認できた。黒色でサラサラの髪。身長も高くて少し筋肉質。顔と性格がよければ絶対モテるであろう男の人だ。
私は足音をたてないように近づいて顔を覗き込むようにした。

「・・・?泣いて…」

光るものが目から頬を伝って砂浜の上にポツッと落ちた。どう見たって泣いている。
男の人は顔をふっとあげて空を見上げた。とても整っていてきれいな顔だけど、とても何か悲しそうな顔で。周りがスローモーションになったみたい。釘づけになって全然動けない。

《♪~~~~~》
「っ!?」

ケータイ空気よめやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

男の人は私に気づいて涙を拭った。目元が赤く腫れてるけどヤッパリもとがカッコいいんだろう。整った綺麗な顔だ。男の人は去って行った。