「行っちゃった…。」


とにかく借りたタオルで髪の毛を

乾かさないと…。





「…ん?」


投げられたタオルと一緒に

暖色のネクタイが混ざっていた。



「これ…。」

あの人の学校のネクタイだよね…。


ネクタイを裏返しにしたら

『西部大地』って書いてあった。




西部…大地…、さん。


「ありがとう…ございます…。」







こんな事、

あるんだね。


漫画とか、
ドラマとか小説の中だけだと思ってた。




あたしは西部さんに借りたタオルを握って

ずっと目の前をぼーっと見てたんだ。