「艦載防衛兵器群展開開始、10秒で定位置です。第1次探査プローブ展開完了。情報反映来ます」

 オペレーターの報告と同時にメインプロジェクターの星系図に現在の星系内の様子が次々と描き込まれて行く。

 アルフ・アレフ星系は、8つの惑星と2つの小惑星帯で形成されており、居住可能惑星は無く、主に資源採掘星系として機能していた。

 更に主星のアルフは、アレフと言う恒星に成り損ねた伴星をロシュの限界近くに抱えているとても不安定なものだった。

 次々と星系図が書き替わり、公式航路情報による星系の状態が実測されて行く。

 現代戦において、周辺宙域の情報把握は非常に重要で、更にそれは自軍の位置も敵に特定されやすいという諸刃の剣だった。

「情報展開が早いな。城塞がうまく機能してる結果か」

 バンガがその早さに感心して言う。

「情報展開の早さは城塞システムの機能の一部でしかありませんよ。肝心な機能は……」

 リユレイの長くなりそうな言葉をバンガが遮った。

「判っている。排時接触による情報とハードウェアの共有だ」

 つまり、それはシステム上の全艦艇を1つの要塞艦の様に運用出来るシステムだった。

 艦載機や艦の機銃までもが対象となり、戦闘資源を無駄なく高効率で運用する事が出来た。

 そして、星系図にそれは現れた。

「目標確認、光学推論情報と一致しました。敵プラント艦です」

 オペレーターの声が届くと同時に星系図に反映され、その拡大映像と予測スペックが表示された。

「これがプラント艦ですか。大きいですな」