『ベイグ、結果は見えた?』

『ええ、私も感じたわ。どうやら、システムのこちら側で再現すると修正されてしまうようね』

『私の端末は検証用に独立しているからな。私を通してでないと外部からの介入は出来ない』

『ありがとう、助かったわ』

『礼には及ばないよ』

『問題は、これがどういう事かと言う事ね』

『そうね。もう少し高精度のログを貰えるかしら、確認してみたい事があるの』

『今送ったわ。そろそろザカーエッジがハイジェルマン粒子砲を撃つみたいだから、周辺の情報空間が歪みそう』

『了解、気を付けてるわ』

 ベイグはそっとスラッドから意識を離した。

 しかし、何の意味があるのかしら。戦闘中に味方が使用した排障システムの発射数と着弾数が合わないなんて・・・

 ベイグがログに現れた問題点を思い浮かべる。

 排障システムは、艦や機に接近するデブリなどの微小飛翔体を自動で排除するシステムで、主にセンサーと1体化した小型のパルスレーザーが使用される。

 戦闘中で宙域を飛び交うデブリが多い事もあるのだが、発射数が多いにも関わらず、確認された着弾数が少ない。

 だが、それが何を意味するのかが、何度考えても解らなかった。

 そして、強力な外部からの重力異常が情報空間にまで歪みを持ち込んだ。

 どうやら、作戦は成功したようだ。

 即座に撤退命令が発動され、ベイグは艦隊の撤退支援に注力を始めた。