強力な強襲戦艦の積層空間シールドは短時間ではあるが、物理的な破壊は不可能だった。

 数百の粒子ビームが積層空間に弾かれ、歪み、反射、拡散された。

 しかし、積層空間シールドはその性質上加速している前方空間にしか作用しない。

 艦体後方は生き残っている艦載防衛兵器96器が、フル稼働で、射程内の敵戦闘ユニットや接近する小惑星を破壊していった。

「積層空間シールド剥離まで30秒」

 その時、ザカーエッジの軌道に交差する最大直径7キロの小惑星が観測された。

 軌道交差まで38秒。

 情報共有で送られてきたデータに、バンガは即指示を出した。

「主砲発射用意。シールド剥離と同時に小惑星を撃て」

 了解の意が返ってくる。

 火器管制システムが活性化。

 主砲のコンデンサにエネルギーが充填され、大口径集束ビームが迎起する。

「積層空間シールド、剥離します」

 圧縮された空間の破片が、きらきらと剥がれ落ちる。

 同時に、艦首主砲を発射した。

 集束ビームがザカーエッジ正面に迫る小惑星の中心に突き刺さる。

 小惑星は爆散。

 無数の岩塊となって周囲の戦闘ユニットを破砕した。

「ハイジェルマン粒子砲1番2番臨界速度です」

「目標、敵プラント艦。発射用意」

 バンガはプラント艦の位置を情報共有で確認しながら、ハイジェルマン粒子砲の照準の修正を火器管制システムに指示した。

 2門が微調整され、最終位置に固定される。

 距離にして約15万キロ。