敵の艦隊は、2000メートル級巡洋艦5隻を中心に航宙母艦1隻、駆逐艦8隻からなる機動性重視の艦隊だった。

 前大戦以降進んでいる高機動高火力編成の艦隊で、各艦をシステムリンクさせて運用していた。

 帝国軍は、この流れに遅れていると長年言われてきた。

 城塞システムは、帝国軍が満を持して開発した、この戦術思想の発展型なのであった。

 最初の会敵時に、敵艦隊の駆逐艦2隻、巡洋艦1隻を撃破していた。

 互いの航宙母艦艦載機も、無人機を含めてほぼ1千機同士であったが、こちらは8割、敵は6割に減らしていた。

 ザカーエッジの主砲に連動して、カルゼル2隻の主砲が敵巡洋艦を射程に捉えた。

 ベイグは主砲発射で一瞬だけ無防備になるザカーエッジの後方宙域至近にSDDアウト現象を認識した。

 システムの推論認識では星系哨戒任務に就いていた敵の駆逐艦を中心とした小隊のようだった。SDDアウトの安全限界を遥かに超える至近距離だった。荒っぽい海賊戦法だ。

 まずい、今の位置だと全ての戦闘デバイスの死角になってる。

 ベイグは瞬時にザカーエッジの操艦中枢に介入。

 艦体全体を軽く捻った。