「おんなじ顔同士喧嘩はよくないぜ可愛いお嬢さん?」

「いや、あなたも同じ顔ですから・・・。」


「むぅ!?そうだったぜ・・・」

いけないいけない、と緊張感のかけらもない喋り方。

寒さの残る春先でタンクトップにハーフパンツ、膝には絆創膏。

少し火に焼けた肌は健康的だ。

ポニーテールにちょこんと乗った赤いリボンが唯一の女の子らしいところだと言ってもいい。


へへっと笑う顔はよく言えば太陽のように明るい。

・・・私の顔でそんなふうに笑わないで・・・

悪く言えば、えっと、馬鹿っぽいというか。


「・・・。」

「えっと・・・荷物、届いたん・・・ですか?」

「届いたぜ!さぁさ、そっちのナイフのお嬢さんも荷物を」

「・・・や。」

・・・はい?

「うち、荷物ないもん。」

これしか、と本を指す。

「へ?あの、着替えとか、ほら勉強道具とか」

「着替えは今着てんのしかないし。勉強道具は全部前の学校に置いてきた」

そっか、この子たちはこっちに転校してきたんだ・・・じゃない。
今日何回一人ツッコミしてるんだろう。

「お嬢さんの新しいベッドとかあるぜー?腰をあげなベイベー!」

「うっさい・・・」

「じゃあ俺ちゃんが最初に決めちゃおっと」

「ちょっと・・・それはなしだから」

そう言って外に駆けて行く二人。


え、適応はやくない?

あっけに取られてんの私だけ?

「水希、早く来なさいよー!」

お姉ちゃんの声がする。

順応しすぎだよ・・・。