「・・・あんたなんか・・・死んじゃえ」


少女はナイフを持ってゆらり、と立ち上がる。

ねぇ、この話ギャグじゃなかったの。

ぴっとナイフを向けられ、じりじりと近づいてきた。

「え、ちょっと待って、ねぇ、」

「うるさい・・・!!」

相当怒っているらしい。

キッと睨みつけられる。私の顔でそんなことしないで。

何か睨みつけられるようなことしたかなぁ・・・?

「うわぁ!?」

どさり。

私はフローリングに押し倒された。

いわゆるマウントポジションてやつだよね、これ。

・・・あれ、これって結構ピンチ?


「・・・。」

ナイフが目の前できらりと光る。

あ、もう駄目かも・・・みんなありがとう・・・






「ちぇいさーーーーー!!」



目の前に足が現れ、ナイフが飛んでいく。

ナイフが蹴り飛ばされたと気付くのに時間がかかった。


「お嬢さん、こんな危ないもん持ってちゃいけないよぅ?ほらほら、荷物運ぶの手伝おうぜ!」


にっこりと笑うその顔は、やっぱり私にそっくりで。



さよなら私の日常。

そんな想いと助かった安心感で、ちょっとだけ涙がでた。