「じゃあ、俺そろそろ行くけど・・・」


そう言った直樹の器には、うどんはもう無かった。


「あ、じゃあまたね。」

「千秋。なんかあんなら連絡しろよ。」

「大丈夫だよ。ありがとう」


直樹は、なんだか納得してなさそうな顔をしていたけど、それでいいんだ。

直樹に変なことで心配させたくはない。


とくにこんなことは、直樹に話すことなんかない。


過去のことと割り切っているんだから。


きっと、私の結婚する相手はこの人なんだから。




話す必要はない。