アカシアの花

体の力が抜ける。

好きかどうかもわからないのに

今。あたしは確実に、暁人に酔わされてる。

「愛花...」

遠くから小さく

あたしの名前をよぶ声がする。

最初「暁人かな?」

思ったけど暁人の声じゃない。

「愛花。」そう言って遠くに微かに歪んで見える

人はたしかに笑った。

昔にあったことのあるような

そんな感覚。

あたしの記憶にいるあなたは

いったい誰なの?

ようやく唇が解放され

息ができるようになった。

それと同時に記憶の中の人も消えていった。