「おい、リョウ帰るぞ。」

「ああ。夏季お前今日何かあるか?」

「レイちゃんとデート」

「そうか。残念だな。新しくできたバーにでも行こうかと思ったのに」

「あー残念だ。場所だけ教えてくれ、レイちゃんと2人で行ってくるからさ。」

「なんだよそれ、教えね―」

俺は歩きながら夏季との談笑に花を咲かせていた。

「おい、リョウみてみろよ。あの子なんかピンチなんじゃねぇの?」

「あ?ほっとけ。絡むと面倒くさいだけだ。」

「けっ、冷たいやつだ。」

「勝手に言ってろ。」

そう言いながらも、俺は夏季の目線の先の女の子を見た。
3~4人くらいの野郎に囲まれている。
ナンパされたのでも拒否したのだろう。
黒いストレートの髪を肩の辺りまで伸ばした、小柄な女の子だ。
いつもだったら、見て見ぬふりして通り過ぎる俺だけど、なんだか今日は彼女を助けたくなった。

「予定変更。夏季、助けるぞ。」

「は?お前どうしたの?まぁいいことだから手を貸すけどさ。」

夏季はとても驚いた顔をしている。
俺の方が自分で何思っているか理解し得なかったけど。

「あー。そこのイケテナイ・メンズさんたち。彼女嫌がってるみたいだけど見えないのかな?」

「あ?何言ってるんだお前。部外者は引っ込んでろよ。」

「いやー、そうはいかないんだよねー。悪者は昔から退治しなきゃ行けないからさ。ははっ」

「お前やんのか、こるぁ!」

「おっとー。暴力沙汰はご勘弁を。この夏季様を怒らせるのもよくないけど、そこから口だけ突っ込んでる、リョウもそれなりの実力者でね。あまりにも君たちが弱いと、救急車呼ばなくちゃいけなくなっちゃう。」

「あぁ、そうだ。どうする?お前ら。」

「は、勝手に言ってろ。もう、こんな女用ねぇし。お前ら次会ったときは覚悟しとけよ。お前ら霊柩車呼ばなくちゃいけなくなるからなあ。」

イケテナイ・メンズたちはそう言い残して立ち去った。