試合が終わった。
シングルはベスト8。
ダブルスはベスト16。
でも、1年生からこのレベルじゃスゴいんだって違う学校の女子が星と剛に黄色い声援をあげていた。
星は笑うとえくぼができる。
カッコイい星が笑うと可愛くて抱きしめたくなるくらいだ。
「凪、何か食ってく?」
「え?いいの?疲れてない?」
「ば〜か。いらない気を使うな」
星はラケットで私の頭を軽く叩くとたまらなく可愛い顔をして笑った。
苦しくなった。
「ねぇ…私ね!」
「星!!」
私、今何を言おうとした!?
告りそうになった!
私の言葉に割り込んで
名前を呼んだのはさっきの彼女だった。
「星。その子誰?」
「加奈子、凪だょ。話しただろ?クラスが一緒の友達だょ。」
友達…………――
妙に痛くて、上手く笑えないんだけど、加奈子っていう女の子はそれを聞いてニヤリと笑った。
「こんにちは。凪さん、私も一緒に帰ってもいいかな?」
「あ、うん。」
今日も仕入れた“星ちゃん情報”
加奈子さんは元カノ。
加奈子さんは星ちゃんの幼なじみ。
加奈子さんは……――
きっとまだ星が好きだ。
私が入る隙間が見当たらない。