「神崎、そこの問題間違ってる」


「……ふぇ?」


ふいに声が掛けらて、間抜けな声が出てしまった。

顔を上げれば、手前の席に大塚君が座っていた。



「っ!?」


驚いて思わず大声を上げてしまいそうになった。

けど、ここは図書室だし、大声上げちゃいけないと思った私は咄嗟に自分の口に手を当てて声を抑えた。

その様子が可笑しかったのか、大塚君は声を上げないように肩を震わせて笑っていた。



「…あ、あんまり笑わないで」

「ごめんごめん」


言いながらなんとか笑いを納めようとしている大塚君。

そんなに笑うほど可笑しかったのかと、恥ずかしくてかぁっと顔が赤くなるのがわかった。