奈々子ちゃんに言われた言葉は、授業が始まってからも私の頭から離れなかった。 "好きじゃないの?" その言葉が、頭の中で何度も繰り返される。 目の前にある背中を見つめながら私はぼんやり考えた。 私は大塚君のことが好きなのかな……。 気になるってことは、やっぱり好きってこと……? よくわからない。 ……それに、仮に好きだと思ったとしても、彼には恋人がいる。 だから、考えるのはやめよう。 考えたら駄目。 そう思ったら、なぜか少しだけ胸の奥がつきんと痛んだ……。