「澪」
私をそっと呼ぶ声が聞こえた…。
顔を上げれば、そこには陸君がいた。
「…陸君…?どうして…」
「澪が心配で…。
桜井教室連れてってから戻って来た」
陸君はそう言って私の腕を掴んだ。
「ほら、早く教室行こう」
優しく腕が引かれる。
けれど私の足は動かなくて、ぐっと立ち止まってしまった。
「澪…?」
陸君が心配そうな声で私を呼ぶ。
「陸君…、話ってなに?」
気が付けば、そう尋ねていた。
別れるつもりなら、こんな風に優しくしないで…。
そう思った。
だって、こんなにも胸が痛い。
優しくされてるのに、それなのにすごく苦しくて泣きそうになる…。


