―――よし、準備完了!
私は、リビングにいる龍弥のもとへ行った。
「龍弥、お待たせ♪」
私が笑顔で言うと、龍弥は少し俯いた。
「………よ、よし。聖人の家行くか。」
「うんっ♪」
私たちは、急いで玄関を出た。
すると龍弥が、
「乗れよ、後ろ。お前は自転車漕ぐの遅ぇから。」
「うるさいわねぇ!自分の自転車で行くから大丈夫!」
私は、自分の自転車に鞄を乗せた。
「いいから乗れ。もう時間ねぇから。」
龍弥は、少し怒り気味で言った。
「う………うん。」
龍弥は、いつも怒ると不機嫌が中々直らない。
そんなことを知っていた私は、龍弥に逆らうことが出来なかった。
そして言われるがまま、私は龍弥の後ろに乗った。
でも、まだ不機嫌そうな龍弥。
私は、咄嗟に龍弥に問い質した。
「龍…弥?怒ってる?」
「…ばか、違ぇよ。飛ばすから、ここ持っとけ…。」
龍弥は、私の手を自分のお腹に回させた。
恥ずかしかったけど、龍弥の機嫌をこれ以上損ねたら大変だと思い、私は言う通りにした。
「行くぞ。」
「うん。」
そうして、龍弥は聖人の家へ自転車を漕いで行った。

