「なぁ。」
「ふぇっ!?」
突然喋りかけられたせいで、声が裏返ってしまった。
「何びっくりしてんだよ、バカ。」
「バカじゃないもん!」
「バカだろ、バカ美涼。」
「バカバカうるさいってば!」
またいつもの言い合い。
5分ほど漕ぐと、聖人の家へ着いた。
―――ピーンポーン
「はい?」
聖人のお母さんだ。
「聖人いますか?」
「迎えに来ました。」
私たちは、いつもの決まり言葉を言った。
「あ、すずちゃんに龍くんね。ちょっと待ってね。聖人呼ぶから。」
聖人のお母さんはそう言って、インターホンを切った。
いつもすぐに出てくるはずの聖人が、今日は中々出て来なかった。
そして数分後、ようやく聖人が出てきた。
「ごめんな、寝坊した。」
聖人は、咄嗟に私たちに謝った。
「しょうがねぇ、許してやる。」
龍弥はフッと笑いながら、聖人に言った。
するといきなり、
「ねぇ、美涼…。自転車は?」
聖人が不思議そうに私に問い掛けてきた。
「あ、あのね!待ち合わせ時間に間に合いそうになかったから、龍弥の後ろに乗せてもらったの!」
「そうか…。じゃあ、行くか。」
聖人がそう言ったあと、私たちは自転車に乗って学校へと向かって行った。

