再び沈黙が降りる。やがてオーブンから時間を告げるブザーが鳴り、ニナの前に切り分けられたアップルパイが置かれた。
「美味しい……」
短時間で作られたというのに街中で売られている物と変わらない出来映え、林檎は甘く、彼女のお腹を満たしてくれる。
「ニナ……、先程も言ったが私は今休暇中だ。話は聞くが状況に応じて他の者に引き渡す。それでも良いなら話を聞いてもいい」
ベリルの物言いにニナは、少しだけ逡巡した。
だが、意を決すると口を開く。元より頼れる人などいないのだ。それならこの人に賭けてみるのも良い。
「父は……、んんん」
意を決したと言うのに、いきなりベリルは手をあげると彼女の口を塞いだ。もう片方の手は人差し指を上げて口元に持って行っている。
静かにしろと言うことなのだろう。
「ゆっくりと話を聞く時間はなさそうだ」
静かにベリルが口を開く。そして手でソファの後ろに隠れるように指示をだすと、自らはドアの方へ歩きだした。
するすると滑るような動きに、足音は立たない。
ベリルは扉が開く側に立つと静かにノブに手を掛け、一気に扉を開く。
「のわっ!」
間抜けな声を出して、男が一人雪崩込んできた。
カチャッ……。
わざとらしく音を立てて、その後頭部に銃を突きつける。
「何かようかね? デリバリーを頼んだ覚えはないが」
「子供を一人匿っている筈だ! そいつを渡せば大人しく帰る」
状況的にはベリルが圧倒的に優位だが、男は怯まずに交渉を持ちかけてきた。
「美味しい……」
短時間で作られたというのに街中で売られている物と変わらない出来映え、林檎は甘く、彼女のお腹を満たしてくれる。
「ニナ……、先程も言ったが私は今休暇中だ。話は聞くが状況に応じて他の者に引き渡す。それでも良いなら話を聞いてもいい」
ベリルの物言いにニナは、少しだけ逡巡した。
だが、意を決すると口を開く。元より頼れる人などいないのだ。それならこの人に賭けてみるのも良い。
「父は……、んんん」
意を決したと言うのに、いきなりベリルは手をあげると彼女の口を塞いだ。もう片方の手は人差し指を上げて口元に持って行っている。
静かにしろと言うことなのだろう。
「ゆっくりと話を聞く時間はなさそうだ」
静かにベリルが口を開く。そして手でソファの後ろに隠れるように指示をだすと、自らはドアの方へ歩きだした。
するすると滑るような動きに、足音は立たない。
ベリルは扉が開く側に立つと静かにノブに手を掛け、一気に扉を開く。
「のわっ!」
間抜けな声を出して、男が一人雪崩込んできた。
カチャッ……。
わざとらしく音を立てて、その後頭部に銃を突きつける。
「何かようかね? デリバリーを頼んだ覚えはないが」
「子供を一人匿っている筈だ! そいつを渡せば大人しく帰る」
状況的にはベリルが圧倒的に優位だが、男は怯まずに交渉を持ちかけてきた。



