手頃なナイフがなかったので台所から包丁を取り出してきました。

後、病気を患ってから溜め込んでいた眠剤をひとしきり集めもしました。

引越しの際、余る程貰ったビニール紐を手頃な長さにカットしてみたりしました。

布団は一応は綺麗に敷いて、気分的に枕を二つ用意しちゃいました。

……いえ、彼女はいません。すいません。

風呂には溢れる程の湯を張って換気扇のスイッチは入れた状態にしています。

ビニール紐を吊り下げるドアノブも選んだんですが、些か低すぎやしないかと少し不安なんですよね。あれって大丈夫なんで……あ、はい、すいません。後にします。

あ、ここは十二階建てのマンションの一室なので。大丈夫です。

ベランダから見下ろすと、今風の石畳がエントランスから出た付近には敷き詰められているので、はい、固いです。

遺書らしきものは書いてはみたんですが、固定された理由も特にないので……

かと言ってただ悲観的な文面もどうかと……
だから便箋には『ご迷惑をおかけします』とだけ書いておきました。

はい。遺言はないです。

え?あ、はい。後は死に方を選ぶだけの段階までは準備出来ています。

思い残す事ですか?
う~ん、今日買った煙草がまだ数本残っている事……

後、毎週欠かさず見ていたドラマが後二時間程で始まると云う事位なものです。

格好良く死にたいとは思います。

ええ、出来れば拳銃でこめかみを撃ち抜くようなワイルドな感じが魅力的なんです。けど、如何せん日本でそれをするのは難しいので用意は出来ませんでした。

一応、取り敢えずは自殺に関しての選択脈はそろっていると思います。

そうですね……
もし受かったら出来れば首吊りが希望です。理由は一番苦しくないと本で読んだ事があるからです。

え……志望動機ですか?あ、死亡動機……あ、死望……えっと、あ、そうですね。

いや、あります。あの……人生に疲れたと言うか、生きてもしかたないので取り敢えず……取り敢えずって訳じゃないんですが、あの……

はい、あ、はい。宜しくお願いします。

あ、離歴書……これです。はい、お願いします。

質問は……、いえ特にありません。