騒がしい。。


嵐のような。。

違う。嵐なのは、この一般的な3LDKの家のなか。


「うわぁーー!!」
幼い叫び声がして冷たい眼差しで、その声の方に目を向ける。


「やめて!!僕は、殺らないで!!」

絶叫に近い叫び声は、弟の勇輝(ゆうき)だった。

まるで小動物のように小刻みに震えている。
なぜなら私は、


今、母を刺しました。


震える勇輝をみた私は、冷たく冷めたまぶたから、
やっと暖かいモノがまぶたに戻った。

「大丈夫。勇輝は、殺らないよ。。」

手に持ってたナイフを床に落とした。
静かな家に冷たい金物の音が響いたのと同時に勇輝がぺタリと床に崩れ落ちた。

「お姉ちゃん。。」

勇輝は、血だらけで倒れてる母を見て不安な気持ちと私への心配なまなざしで私をみた。
まだ恐怖でおびえてる様子でもあった。

「大丈夫。。お姉ちゃんの問題だから。。」

勇輝の頭を撫でてギュッてきつく抱きしめた。

「ごめんね。。勇輝。。」


勇輝は、泣きじゃくってる。
私は、涙がこぼれないようにして受話器をとった。


プルルル。。。

「もしもし。私が母を殺しました。」

受話器を置いた手。唇は、冷静を装ったけど震えていた。