東京心中

部屋に戻ると、エアコンがよく利いていて、寒い位だった。「お疲れ様でした、後で連絡入るから、それまで待ってて」と言われて「はい」と応えたが、他に会話もなく時間だけが、過ぎていった。
暫くして電話がなった。「はい、わかりました、またお願いします」と電話口で話して切っている姿を横目に、駄目だった事を悟った。
「残念だったね、もっと大人っぽい人がいいって、こればっかりはね」「そうですか、難しいですね」となんだか恥かしい所を見られた感じで、そそくさと応えたが、「またすぐ次の客が来るから、気にしないで」と辺に慰められ、ばつが悪くなり、「お金払っておきます」と言って、五千円を出した。「あっそう、じぁお願いします、今日でもいいし明日でもいいけど、次の客が来るよ、どうする？お金の事もあるし、明日でもいいけど、お金は後払いでもいいけど、どうする？」「お金持ってきてないから、明日にしようかなぁ」「お金は後でもいいよ、遠いから交通費もかかるしね、せっかくだから今日もう一人会って行ったら？」「どうしようかなぁ、遅くなるしなぁ」と答えたが、またあの交差点に向かっていた。行き交う人の中に自分を選ぶ人がいるんだ、と思うと妙にやる気が沸いてきたりした。また時間がきたのであのワンルームマンションに戻った。