東京心中

次の日、約束通りに梅田に向かい、あのワンルームマンションに向った。その当時流行っていたブランドフアッションに身を包み、少し長めの髪をセットして、約束の場所に着いた。
「あそこの交差点のビルの角に立っていて下さい、15分位でお客さんから電話が入るから、それくらいにここに着く様に戻って来てくれたら、次に指示しますので、大丈夫?」「はい、立っているだけでいいんですよね」「そうです、この紙袋だけ目印で、持って行って下さい、緊張せずいつも通りでいいから」「わかりました、じぁ行って来ます」「帰って来てから、お金払ってくれたらいいから、間に合う様に行って下さい」「わかりました」
そう言ってバタンとドアを閉め、階段を駆け降り、札束目掛けて歩いていた。
その間何も考えていなかった。というより、展開の早さに、流されていた。
とあるビルの角で指示通り待っていると、指定された時間になった。心の中で「何処から見てるのかなぁ、変なおばさんだったらどうしよう」とか「幾らもらえるかなぁ」とか、そんな事ばっかり考えていた。暫くして時間が過ぎまたあのワンルームマンションに戻る時間になったので、急いで戻った。