「もしもし、昨日電話した伊澤ですけど、アルバイトの件で、」「今どの辺ですか?阪急ファイブを抜けた所にある、ケンタッキー分りますか?」「はい、分ります、そこで待っていれば、いいですか?」「そうですね、どんな服装ですか?」などの淡々とした会話の後、ドキドキしながら迎えを待っていた。ここで帰ろうかなぁ、など少し頭によぎったが、最後まで見てみたいと好奇心の方が勝ってしまった。暫くして、落ち着いた感じの男の人と目があった。直感で、この人だ!と思い、少しアピールしながら立っていた所より、少し前に出て、目を見開いて男の人を見た。「伊澤君?」って聞かれたので「はい、そうです」と答えた。すると「近くに事務所があるんで、行きましょうか?時間大丈夫?」って聞かれたので「まあ、大丈夫です」と頼りなく応えて一緒に歩き出した。街は若者や家路に帰るサラリーマンやOL達で賑い、ネオンに灯が灯っていた。
