「…昨日の満月はすごかったね。この近所でも、オオカミ男が出たみたいよ」

始業前のOLが、新聞をみながら、おしゃべりに興じていた。

「怖い時代ね。満月の夜は、しっかりと月光線対策しないと」

ここ数年の、オゾン層の壊滅的破壊により、強い月光線が、地球に降り注ぐようになった。

特に肌の弱い人は、晴れた満月の夜には月傘などで月光線対策をしないと、大変なことになる。


OLが読んでいる新聞には、スーツを着たオオカミのカラー写真が載っていた。

オオカミの口元は、カスタードクリームで、べっとりと汚れていた。


<終>