すると、光志が自分の腕時計に目をやる。 「げっ!やべぇっ」 「何よ?どうしたの?」 慌てて立ち上がる光志にあたしが聞くと、自分の腕時計をあたしに見せつけて言った。 「あと5分しかねぇっ」 映画の上映時間は2時。 今は1時55分。 「…げっ」 あたしも慌ててバックを持ち席を立つと、いつの間にか光志の姿はレジにあった。 光の速さってこういうことだな。 「ほら、杪。走るぞ」 そう言って光志は右手を差し出した。