目を伏せて黙りこくってしまった光志に、あたしはため息を吐く。
『俺が離婚するって言ったらどうする?』
あの言葉を今更後悔してんのか。
本当、無責任な男だな。
「で、望みの言葉はなんだったの?」
「え?」
伏せていた瞳があたしを捕らえた。
「なんて言って欲しかったの?あたしに」
「結婚する、とか。お嫁さんになる、とか」
「ばーか」
何言ってんだ、この男は。
あたしは光志のおでこに手を伸ばし、思いっきりデコピンをする。
「痛っ」
「本当、時々クソガキレベルにタチが悪い」
そう言って笑いつつ、
考えていた。
───結婚。
きっと、あたしは一生出来ないな。

