そう言うと、光志は
どこか遠くを見るような目をして言った。
「そうだよな、好きになんてなれないよな…それでも、杪のお父さんさんだってことは変わらないんだから、その目に焼き付けとけよ」
「…なんか、格好つけてるけど、全く格好いい台詞いってないからね」
すると、光志はきょとんとした顔をして「え?本当に?」と言っていた。
その時、お店に一人の男性が店内をきょろきょろしながら入ってきた。
白髪混じりの薄い髪に
しわしわの顔、
40代後半といった
ところだろう。
光志も同じ人を見ていた。
「あの人だよね?」
「多分な」
そして、あたしは
小さく息を吸った。

